メサイアコンプレックスとは【3つの特徴】診断と克服のしかた

メサイアコンプレックスとは 心理

ろいろ助けてくれるけど、なんとなくウザい。

親切そうにみえて、実は自己満足ばかりをもとめる人。心のなかに「メサイアコンプレックス」がある人かもしれません。

モヤモヤして生きる、あなた自身にも潜んでいる心理です。

今回は、メサイアコンプレックスに焦点をあて、特徴や自己診断、克服方法をお伝えしていきます。あなたのまわりにもいる?!

メサイアコンプレックス3つの特徴

メサイアコンプレックス3つの特徴

メサイアコンプレックスとは、自分自身が「不幸」である認識を埋め合わせるため、他人を助けることで「自分はしあわせ」と思い込もうとする心理。

救世主をあらわすメサイア(メシア)の語彙からつくられた用語。メサイアコンプレックスの人とはどのような特徴があるのでしょうか。

1.やさしさが攻撃性に変わる

メサイアコンプレックスの人は、自分を満たすことが最大の目的。人助けの「見返り」がなければ、助けた相手に攻撃的な意識がめばえることも。

思い込みに近い感覚。「自分はこんなに尽くしてあげたのに……」の一方的な感情をおさえることができません。

人にやさしくする理由は、満たされないみずからへの「補償」。助けてあげた以上の見返りを相手にもとめるのがメサイアコンプレックスの特徴といえます。

職場で自分の「貢献度」を必要以上に主張する人。仕事へのやりがいを感じる要因ですが、「見返り」ばかりもとめる心理背景には、メサイアコンプレックスがあるかもしれません。

貢献を自己判断するため、会社のもとめる内容を自分で拡大解釈しやすい人といえます。

あくまで助けてもらいたいのは「自分」であるため、やさしさと攻撃性の感情をさまようのがメサイアコンプレックスの人です。

 

2.自己肯定感が低い

2.自己肯定感が低い

メサイアコンプレックスの人に共通する特徴が自己肯定感の低さ。

過去のつまづき・しくじりが、そのままネガティブな感情にむすびついた経験。この思考から抜けられない人の劣等感を補うのが「相手からの見返り」となります。

自分を助けてほしいがために人を助ける感覚。けっしてダメではないのですが、いき過ぎた劣等感は、助けた相手への過剰な援助になることも。

相手にとっては「ありがた迷惑」。ときに助けられた人の自立を妨げてしまうでしょう。

多様性に焦点があたる時代ですが、なにかと人の目を気にする日本人の思考は画一的になりがち。自己肯定感が低くなる要因のひとつかもしれません。

 

3.感情が入り混じる

メサイアコンプレックスの心理はとても複雑。

劣等感が深いからこそ、自身の心の傷をいやそうとします。「自分は弱きを助ける力をもつ」救世主的な思考と、自分を重ね合わせるため厄介です。

助けている相手への感情移入が過剰になり、ときに感情が爆発してだれかを傷つけてしまうことも。

メサイアコンプレックスにひそむ正義感。はじめは好意的にみられるため、当事者はこの歪んだ感情に気づきません。

 

【ケース別】メサイアコンプレックスの心理

メサイアコンプレックスの心理は、子をもつ「親」の場合や「対人援助」の職業につく人の場合を検証してみるとよくわかります。

それぞれについて分析してみましょう。

1.親の場合

親にメサイアコンプレックスがある場合、子どもへの「共依存」が課題。

出生時から赤ちゃんは、親の助けなくして育つことは困難です。親が子どもの世話を全面的におこない、安全な環境で育つのは健全なこと。

問題となるのは、親が子どもを養う過程で、親自身の不完全な心を補う目的が優先されるとき。

親にとっては子どもはいつまでも子どもですが、やがて子どもは自立をしていきます。

ただし、メサイアコンプレックスの親は「親離れ」ができません。子育てが自分の価値を維持する目的となるからです。

親子が共依存のままに、子どもの自立が阻害されてしまうことも。

 

2.対人援助者の場合

2.対人援助者の場合

メサイアコンプレックスの心理背景が、仕事の選択に影響をもたらすこともあるでしょう。

医療・福祉やカウンセラーなど対人援助職につく人。メサイアコンプレックスが、潜在的動機となることが多いといわれます。

過去に人を助け、自分の心が救われた経験を人助けに活かす。援助職につく動機となるのは自然なこと。

メサイアコンプレックス的な要素が大きい職種。ただし、援助者による虐待など、不適切な状況がうまれる心理にも少なからず影響があるといえます。

大切なのは、援助者自身にメサイアコンプレックス的な「自分への補償」があるかもしれない認識をもつこと。

職責においては、メサイアコンプレックスの心理がマイナスの作用にもなるためです。

 

あなたはメサイアコンプレックス?診断法とは

あなたのメサイアコンプレックス度を診断してみませんか。

10項目のうち、あなたにあてはまる項目の数をかぞえてみましょう。該当が多いほど、あなたはメサイアコンプレックス?!

  1. 1日1回でも、人に感謝されないとモヤモヤする。
  2. 日々なんとなく生きづらいと感じている。
  3. 過去を振り返ると、劣等感におそわれることが多い。
  4. 自分のまわりでおこる不幸はすべて自分のせいだと感じる。
  5. 家族や友達など、身近にどうしても放っておけない人がいる。
  6. 「この人にはわたしがいないとダメ」と思うことがある。
  7. いままで面倒を見ていた人が自立しても、素直に喜べない。
  8. 困っている人への世話に疲れを感じるが、離れることもできない。
  9. 世話をしている人が、別の人に援助をうけるとなると不安。
  10. 世話をしている人に、わけもなくキレてしまうことがある。

あなたは何個該当しましたか?

0~3個……メサイアコンプレックスではない

4~6個……メサイアコンプレックス予備軍であり要注意

7~10個……メサイアコンプレックスの可能性あり

大切なのは、あなた自身にメサイアコンプレックスの気質があるかどうか、しっかりと自覚することです。

 

メサイアコンプレックスを克服する方法

だれの心のなかにもあり得るのがメサイアコンプレックス。あなたのなかにある、消化しきれていない過去がしめす課題にほかなりません。

メサイアコンプレックスを克服する方法をお伝えしていきましょう。

  1. 自己肯定感を上げる
  2. 見返りをもとめすぎない
  3. メサイアコンプレックスを自覚する

 

1.自己肯定感を上げる

1.自己肯定感を上げる

日常の小さな目標をたてて、地道にこなしていくのが自己肯定感を上げるコツ。

目標のクリアは達成感をもたらし、達成感が自己肯定感を引き上げる原動力。

「朝決まった時間に起きる」「駅では階段をつかう」など達成しやすいルーティンワーク。達成感を実感しやすい身近な内容でよいのです。

自己肯定感の向上とともに、目標もより高いものへと自然にかわっていくでしょう。

 

2.見返りをもとめすぎない

人助けの見返りで、あなたの問題は解決しません。

メサイアコンプレックスの人が人助けをする理由は、自分が救われたいがため。ときに解決がむずかしい問題もまるごと受け止めてしまいます。

問題の解決はあくまで、本人が取り組むもの。他人が入り込むことで、かえって解決を妨げてしまうことも。

問題がむずかしいほど、見返りも大きいと考えるメサイアコンプレックス。結果的に人助けがうまくいかずに、逆ギレしてしまうようであれば最悪。

あくまで、相手のしあわせをまず考えるべきであり、あなたへの見返りを優先してはいけません。

 

3.メサイアコンプレックスを自覚する

心のなかにあるメサイアコンプレックスをまず自覚する。自覚することで過剰な自意識の苦しみを軽減できます。

メサイアコンプレックスは無自覚である場合がほとんど。自分の苦しみの根源が理解できずに苦しむのはこのため。

まずは、しっかりと自分のなかにあるメサイアコンプレックスを受け止めましょう。受け止めることで、自分がどう生きていくかの思考と成長がえられるのです。

 

メサイアコンプレックスまとめ

メサイアコンプレックスの特徴や診断のしかた、克服法をお伝えしてきました。

メサイアコンプレックス自体がダメというわけではありません。だれの心のなかにも多かれ少なかれあるのです。

大切なのは、メサイアコンプレックスをしっかりと自覚すること。自分の弱さを知ることで自身の成長につながるでしょう。

今後、あなたがいきいきと過ごせるキッカケになればうれしいです!

【お問い合わせ】

自己洞察瞑想療法(SIMT: Self Insight Meditation Therapy)

Post by @moto.mako
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