境界性パーソナリティ障害の人と上手に付き合う3つのコツ

境界性パーソナリティ障害の人と上手に付き合う3つのコツ パーソナリティ障害

なたの身近にもいるかもしれない、境界性パーソナリティ障害の人。彼らとの関係はどう築けばいいのでしょうか?

境界性パーソナリティ障害とは、気分や行動が不安定で、自分や他人のイメージが曖昧な精神障害。身体的要因と環境的要因が関係して発症し、心理療法を中心に薬物療法などの治療法があります。また、治療だけではなく、周囲の人との関係も重要です。

境界性パーソナリティ障害の人と上手に付き合うためには、どんなコツがあるのでしょうか? 今回は、境界性パーソナリティ障害の概要、境界性パーソナリティ障害の人と適切な距離を保つ方法や、自傷行為や自殺未遂をする場合の対処法などをお伝えします。

境界性パーソナリティ障害とはなにか?

境界性パーソナリティ障害とはなにか?

境界性パーソナリティ障害は、気分や行動が不安定で、自分や他人のイメージが曖昧な精神障害です。身体的要因と環境的要因が関係して発症。診断はDSM-5といわれる臨床基準に基づきます。心理療法、場合により薬物療法などがおもな治療法です。

1.境界性パーソナリティ障害の定義と特徴

境界性パーソナリティ障害(BPD)は、気分や行動、機能が不安定で、自分や他人のイメージが曖昧で、対人関係が混乱しやすい精神障害です。

原因は遺伝的、環境的、社会的要因が関与しているといわれますが、たいへんに複雑。治療は心理療法を中心に薬物療法や自助グループも併用されます。

早期診断と治療により、症状の改善が期待できるでしょう。

 

2.境界性パーソナリティ障害の原因とメカニズム

境界性パーソナリティ障害とは、自己のアイデンティティや感情の安定性が低く、人間関係や衝動制御に困難を抱える人格障害の一種。

この障害は、遺伝的要因や神経伝達物質の異常などの身体的要因と、小児期の虐待やネグレクトなどの環境的要因が複合的に影響して発症すると考えられます。

境界性パーソナリティ障害のメカニズムとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 自己のアイデンティティが不安定であるため、自分自身や他者に対する評価が極端に変動し、自己否定や自己愛などの感情が入れ替わる。
  • 感情の安定性が低いため、些細なできごとで怒りや悲しみなどの感情が爆発し、自傷行為や自殺企図などの危険な行動に走る。これは、セロトニンという神経伝達物質の機能低下によって衝動的な行動パターンが生じるという説がある。
  • 人間関係において、愛着や信頼感が不安定であるため、相手を理想化したり悪魔化したりする二極化的思考や「見捨てられ」への過剰な恐怖感を抱く。

 

3.境界性パーソナリティ障害の診断と治療法

境界性パーソナリティ障害(BPD)は、対人関係や自己像に関する不安定さや過敏さ、気分の変動や衝動性などを特徴とする精神障害。

診断は、精神障害の診断基準として世界的に使われている「精神障害の診断・統計マニュアル第5版」(DMS-5)に基づいて行われますが、実際に診断にもちいるケースはあまりないです。うつ病や双極性障害などの傾向としてみる場合はあるでしょう。治療は、主に認知行動療法などの心理的アプローチや、場合によって薬物療法も併用されます。

感情のコントロールや対人スキルの向上、自己受容や自己効力感の強化などが心理療法の目的です。薬物療法では、抗うつ薬や抗精神病薬などがもちいられますが、効果は個人差があります。

 

境界性パーソナリティ障害の人と適切な距離を保つ方法

境界性パーソナリティ障害の人と適切な距離を保つ方法

境界性パーソナリティ障害の人と関わるときは、親切にしすぎたり、言われた言葉を気にしすぎたりしない意識が大切。自分の感情や意見をしっかり伝えると、自分の境界線を守り、冷静に対応できるでしょう。

1.手を貸しすぎない重要性とコツ

境界性パーソナリティ障害の人は、自分や他人に対する評価が一定しないために、人間関係が長続きしなかったり、常に虚しい気持ちを抱え続けたりする傾向があります。

そのため、彼らに親切にしてあげたいと思う人も多いかもしれません。しかし、親切がしばしばあだになる場合もあるでしょう。

手を貸しすぎると、境界性パーソナリティ障害の人はあなたに依存したり、あなたのせいにしたりする可能性が高くなります。また、あなた自身も疲弊したり、自己犠牲的な姿勢に陥ったりする危険もあるでしょう。そうならないためには、手を貸しすぎない意識が大切です。

手を貸しすぎないコツは、以下のようなものがあります。

  • 境界性パーソナリティ障害の感情や行動は、あなたのせいではなく、彼ら自身の問題であると認識する。
  • 相手には、明確で一貫したルールや境界線を設定し守ってもらう。
  • 要望は、必ずしも応える必要はなく、断る権利がある。
  • 同情や甘やかしではなく、尊重や信頼を示す。
  • 境界性パーソナリティ障害に対する治療の必要性を伝え、専門機関に相談するよう促す。

以上のように、「手を貸しすぎない意識」は、境界性パーソナリティ障害の人と適切な距離を保つ方法のひとつ。しかし、それだけでは十分ではありません。

境界性パーソナリティ障害の人と付き合う場合は、自分自身の心身の健康や幸福も大切にする必要があります。

自分の感情やニーズを無視せず、自分の時間や趣味を大切にします。必要であれば、カウンセリングやセルフケアグループなどの支援を受けてもよいでしょう。

 

2.どう言われても気にしすぎないようにする効果と方法

境界性パーソナリティ障害の人と適切な距離を保つ方法のふたつ目は、「どう言われても気にしすぎない」です。

境界性パーソナリティ障害の人は、自分の感情や欲求を抑えられず、相手に対して攻撃的や批判的な言動をします。しかし、それは本人の不安や苦しみの表れであり、相手に対する本心ではありません。

そうであっても、境界性パーソナリティ障害の人から言われた発言を気にしすぎると、自分も傷ついたり怒ったりしてしまい、関係が悪化する可能性があります。気にしすぎないようにすると、自分の感情をコントロールしやすくなり、冷静に対応できるしょう。

「気にしすぎない」効果は大きいですが簡単ではありません。気にしすぎない方法としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 境界性パーソナリティ障害の人と関わるときは、本人の言動は自分に対するものではなく、本人の不安や苦しみの表れであると理解する。
  • 本人の言動にその場で反論したり否定したりせず、いったん受け入れて落ち着かせる。本人が落ち着いてから、非難や責めないよう配慮しつつ自分の気持ちや希望を述べる。
  • 本人の言動に影響されず、自分の価値観や目標を持ち続ける。境界性パーソナリティ障害の人以外にも、信頼できる人や趣味など自分の心を癒せるものを持つ。

 

3.自分の感情や意見をしっかり伝える必要性と技術

境界性パーソナリティ障害の人は、感情が不安定で、自分の思い通りにならないと激しく怒ったり悲しんだりします。人間関係においても、相手を極端に愛したり憎んだりする傾向が顕著です。

このような人と関わるときは、自分の感情や意見をしっかり伝えましょう。相手の感情や行動に振り回されないよう、自分の境界線を明確にするために必要です。

自分の感情や意見を伝える技術としては、以下の点に注意するとよいでしょう。

  • 相手の言動に対して、自分はどう感じたか、どう思ったかを具体的に述べる。
  • 自分の感情や意見は自分のものであり、相手に押し付けるものではないと伝える。
  • 相手の感情や意見も尊重し、否定せずに聞く姿勢を示す。
  • 相手が攻撃的や否定的になったときは、冷静に対処し、必要なら距離を置く。

境界性パーソナリティ障害の人と適切な距離を保つ技術を身につけると、なにより自分のメンタルを守れます。自分の感情や意見を適切に伝えると、むしろ健全な関係を築けるでしょう。

 

境界性パーソナリティ障害の人が自傷行為や自殺未遂をする場合の対処法

境界性パーソナリティ障害の人が自傷行為や自殺未遂をする場合の対処法

境界性パーソナリティ障害の人は、自分の存在や価値を確かめたいという衝動で、自傷行為や自殺未遂をしてしまうケースがあります。そのときは、責めないで助けを求めていると考え、まずは身体的な安全と心理的な安定を確保する配慮が大切です。

1.自傷行為や自殺未遂の背景と心理

境界性パーソナリティ障害の人は、自分の感情や人間関係に対してとても不安定。「見捨てられ、拒絶されるのではないか」の強い恐怖を抱いています。

そのため、自分の存在や価値を確かめたい衝動が強くなり、自傷行為や自殺未遂を繰り返すケースがあります。

自傷行為や自殺未遂は、自分の苦しみを表現したり、他者の注意や同情を引きたいという目的もあるかもしれません。

 

2.自傷行為や自殺未遂に巻き込まれないための注意点

境界性パーソナリティ障害は、人間関係や自己像、気分、行動の不安定性を特徴とする精神障害。拒絶や見捨てられる恐怖から、衝動的に自傷行為や自殺未遂を起こしたときに、周囲の人も巻き込んでしまうケースがあります。

自傷行為や自殺未遂に巻き込まれないための注意点は以下の通りです。

・境界性パーソナリティ障害の感情や行動は予測できないのを理解し、自分や相手を責めたり否定したりしない。

  • 自傷行為や自殺未遂をする背景には、助けを求めている心理があると認識する。
  • 自傷行為や自殺未遂をした場合は、すぐに医療機関に連絡し、必要な治療を受けさせる。
  • 安心感や信頼感を与えるように接し、適切な境界を設定する。
  • 自分自身の心身の健康にも気を配り、必要ならば専門家の支援を受ける。

 

3.自傷行為や自殺未遂が起きたときの専門家への相談方法

境界性パーソナリティ障害の人は、自分の感情や対人関係が不安定で、見捨てられるのが怖いと感じています。そのため、自分を傷つけたり、命を絶とうとしたりして、苦しい気持ちを紛らわせようとするでしょう。

しかし、これらの行為は本人にも周囲にも大きなダメージを与えます。もし自傷行為や自殺未遂が起きたら、どうすればいいでしょうか。

本人の身体的な安全確保を最優先します。必要ならば救急車を呼んだり、医療機関に連れて行ったりしてください。

次に、本人の心理的な安定をはかります。自傷行為や自殺未遂の理由や動機を問い詰めたり、非難したり、軽視したりしないでください。本人は深い苦しみの中で行動しているので、理解や支持的態度を示しましょう。

また、本人が見捨てられるのではないかという不安を抱えているので、本人に寄り添って話を聞き、、しばらくは一緒にいると伝えてください。

自傷行為や自殺未遂は再発しやすいので、専門家への相談を促しましょう。精神科医や心理士などのプロフェッショナルによる治療やカウンセリングが必要です。本人が拒否する場合には、焦らず一緒に相談に応じるよう寄り添います。

 

境界性パーソナリティ障害まとめ

境界性パーソナリティ障害の人は、しばしば自分や他人の考えがわからなります。彼らとの関係を円滑にするためのコツや、危機的な状況に対処する方法をお伝えしました。

境界性パーソナリティ障害の人との付き合い方は、難しいと感じますが、適切な距離感や対応策を知ると、相手との関係を改善できます。

境界性パーソナリティ障害の人との関係を良好に保つために必要なスキル、緊急時の対応方法などの知識が、みなさまのお役に立てばうれしいです!

 

【お問い合わせ】

自己洞察瞑想療法(SIMT: Self Insight Meditation Therapy)

 

Post by @moto.mako
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