アサーションとは【3つのステップ】コミュニケーションが活性化する

アサーションとは【3つのステップ】コミュニケーションが活性化する 心理

サーションとは、自己の意見や感情を率直に表現し、自己主張やコミュニケーションを促進する心理療法のひとつ。

近年は自己主張が重要視される一方、苦手な人も少なくありません。

「相手とうまく協調しながら自己主張をする」アサーションは自分の意見を適切に表現できる手法として生み出されました。

アサーションの手法とトレーニングは、仕事や人間関係において大きな役割を果たし、コミュニケーション能力の向上が期待できます。

今回は、アサーションの事例として、DESC法をもちいたコミュニケーションで解決していく方法をわかりやすくお伝えしていきます!

 

アサーションを理解するための自己表現3つ

アサーションを理解するための自己表現3つ

アサーション(assertion)は、「自己主張」の意味です。

アメリカで提唱された、相手も自分も大切にするコミュニケーションスキルで、ストレスの軽減やハラスメント対策として注目を集めています。

アサーティブ(アサーションの形容詞形)のほか、非主張的および攻撃的な自己表現を含めた3つのタイプに分類されます。

1.アサーティブな自己表現

自己と他者の両方を考慮しながら、率直で正直な態度で話す自己表現。自発的であり、自他尊重や自己選択を尊重します。

「わたしもOKであり、あなたもOKです」という積極的かつ調和的なアプローチをとる場合です。

 

2.非主張的(ノン・アサーティブ)な自己表現

他者を優先し、自分のことは後回しにする傾向。引っ込み思案で、自己否定的な態度をとる場合もあるでしょう。

「わたしはいいから、あなたがOK」というような、他人本位で卑屈な表現方法です。

 

3.攻撃的な自己表現

自分の利益を優先し、他者への配慮を欠く態度を示します。尊大であり、他者を否定するアグレッシブな傾向です。

「わたしはOKで、あなたはダメ」というような、優越を誇示し相手を批判する態度。このような態度は後悔や孤立を招きやすいでしょう。

 

アサーションをトレーニングする

アサーションをトレーニングする

人によっては、いつもアサーティブな会話ができていても、状況によってむずかしくなります。

「自分の気持ちがはっきりしていない」のがひとつの要因です。自分の感情や考えが明確でないと、アサーティブになるのはむずかしくなるでしょう。

自分がどうすればいいのかわからなくなったときは、まず自分の気持ちに目を向ける意識が大切。アサーションをはじめる一歩です。

普段からコミュニケーションで以下のポイントを大切にして、トレーニングのつもりで日常を過ごしてみましょう。

1.非合理的な思い込みを見直す

腹が立ったり落ち込んだりするとき、自分自身が気付かないうちに非合理的な思い込みを持っている場合は多いです。

例えば「年長者の意見は絶対に正しい」との思い込みがあると、間違った指示を受けても自分の意見を述べられないかもしれません。あらためて「年長者でも間違えることがある」との認識がもてれば、自分の意見を述べる勇気が生まれます。

「誰からも愛されなければならない」とか「失敗は許されない」といった非合理的な思い込みを見直し、より建設的な見かたや考えかたを身につけることが大切です。

日々、自身の気持ちを見直すトレーニングを繰り返してみましょう。アサーティブな自己表現が促進されます。

 

2.会話のなかで追加情報を提供する

会話やコミュニケーションにおいて、単に質問に答えるだけでなく、「○○なこともあったんだ」といった追加情報を加えると会話が深まります。相手にとっては、お店で「おまけ」をもらうようなうれしい驚きと同様の効果が得られるでしょう。

 

3.質問を使い分ける

質問には、「開かれた質問」と「閉じられた質問」の2種類があります。開かれた質問は話を広げたり情報を得たりするのに適しており、結論を確認したりするのに適しているのが「閉じられた質問」です。

会話のはじまりは「閉じられた質問」で確認をしつつ、信頼が感じられた段階で「開かれた質問」で会話を広げていくのが効果的でしょう。

 

4.積極的に相手の話に耳を傾ける

自分の興味のある部分だけを聞くのではなく、相手が伝えようとしている内容に関心を持って耳を傾けてみましょう。これによって、相手を大切にする姿勢が示され、アサーションが促進されます。

 

事例で学ぶアサーション3つのステップ

事例で学ぶアサーション3つのステップ

課題達成や問題解決のために「3つのステップ」を使って考えを整理します。

  1. 課題を明確にする
  2. 自分の意見を明確にする
  3. 自分の意見をどのように伝えるか考える

実際に相手に意見を伝える場面で有効なのが「DESC法」です。職場内での同僚との関係を事例にしてみていきましょう。

あなたは、企画部で働くAさん。

最近、同僚のBさんから担当するプロジェクトの進捗についてひんぱんに質問を受け、自分の仕事に支障が出ています。Bさんには、質問する前に自分で調べて解決してほしいと考えています。

1.【課題を明確にする】

  • Bさんを責めずに、自分の状況を伝え、協力を取りつける。
  • Bさんも納得し、今後は自分で解決できるようになる。

2.【自分の意見を明確にする】

  • 自分の担当するタスクに集中したい。
  • Bさんにもプロジェクトの全体像を把握してもらいたい。

3.【自分の意見をを伝える】

アサーティブコミュニケーションを実践してきます。ここでは「DESC法」をもちいてみましょう。

 

自分の考えを伝えるDESC法とは

DESK法は、Describe(描写)、Explain(表現)、Specify(提案)、Choose(選択)の4つの段階にわかれています。

Describe(描写)

客観的な事実を伝えます。相手の行動や状況を主観的な感情を入れずに説明しましょう。

例:「最近、Bさんからプロジェクトの進捗についてひんぱんに質問を受け、自分の仕事が集中できなくなっています。」

 

Explain(表現)

自分の感情や考えを表現します。ただし、第三者の意見ではなく、自分の意見として伝えることが大切です。感情的にならずに、理性を持って相手に伝えましょう。

例:「自分の担当するタスクに集中したいですし、Bさんにもプロジェクトの全体像を把握してもらいたいと思っています。」

 

Specify(提案)

具体的かつ実行可能な解決策や要求を伝えます。相手に押し付けるのではなく、提案として柔軟に伝えるようにしましょう。

例:「質問する前に、できるだけ自分で調べて解決してみていただけませんか? どうしてもわからない場合は、喜んでお手伝いします。」

 

Choose(選択)

相手の反応に応じて次の行動を選択します。提案が受け入れられない場合は、代替案を提示するなど柔軟に対応します。相手の反応に合わせて選択肢を用意しましょう。

例:「わたしの説明がわかりにくかった場合は、遠慮なくいってください。一緒に解決策を探しましょう。」

 

事例におけるDESC法のポイント

おもに説明(Explain)および提案(Specify)のときに以下のポイントを意識するとよいです。

「わたし(i)」を主語にしたアイメッセージをつかう

「あなたはいつも質問ばかりで困る」ではなく、「質問攻めに困っている」のように、自分の気持ちや考えを主語の「わたし」を使って伝える。

 

非難ではなく、協力を求める

Bさんを責めるのではなく、協力して問題を解決したいという姿勢を伝える。

 

具体的な提案をする

Bさんになにをしてほしいのかを具体的に伝える。

 

相手の意見にも耳を傾ける

Bさんの意見にも耳を傾け、必要に応じて提案を調整する。

Aさん
Aさん

Bさん、ちょっとお話したいことがあって。最近、プロジェクトの進捗についてひんぱんに質問を受けて、自分の仕事に集中できなくなってしまっているんです。

Bさん
Bさん

ごめんなさい。わからないことが多くて、つい質問してしまうんです。

Aさん
Aさん

質問してもらえるのはありがたいんですけど、できれば質問する前に、できるだけ自分で調べて解決してみていただけませんか? どうしてもわからない場合は、喜んでお手伝いします。

Bさん
Bさん

わかりました。できるだけ自分で調べてみます。

Aさん
Aさん

ありがとうございます。もしわたしの説明がわかりにくかった場合は、遠慮なくいってくださいね。一緒に解決策を探しましょう。

アサーションを意識した会話では、AさんはDESC法にもとづいて、Bさんを責めずに自分の状況を伝え、協力を求めています。BさんもAさんの説明に納得し、今後は自分で解決できるよう認識をあらためました。

もちろん、状況によって会話の内容は変わってきます。大切なのは、相手を尊重し、建設的なコミュニケーションを心がけることです。

 

アサーション まとめ

アサーションを実行するには3つのステップがあります。あわせてDESC法を意識しながらのコミュニケーションが有効です。

  1. 課題を明確にする
  2. 自分の意見を明確にする
  3. 自分の意見をどのように伝えるか考える

ストレスマネジメントに重要な役割を果たすのがアサーションです。アサーティブな振る舞いが個人や組織に根付くことで、レジリエンスが向上します。

つまり、精神的な回復力や耐久力が高まります。アサーティブな態度を取ることで、開放的なコミュニケーションが生まれ、お互いの信頼関係が強化されるでしょう。

円滑な対人関係が築かれると、違いを認め合う風土が育まれます。組織全体のコミュニケーションが活性化するのがアサーションです。個人と組織の両方にとってストレスに強い状態が実現されるでしょう。

本記事が参考になればうれしいです!

 

【お問い合わせ】

自己洞察瞑想療法(SIMT: Self Insight Meditation Therapy)

Post by @moto.mako
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