「どうしても人間関係がギクシャクしてしまう。自分の考えかたの問題?」
あなたのモヤモヤした気持ちの原因は「認知のゆがみ」かもしれません。
人はみずからを守るために、無意識におなじ思考を繰り返すことがあります。ネガティブな思考パターンから抜け出すことがむずかしくなる場合も……。
まず、完璧主義な思考や思い込みを自覚するところからはじめてみる。
認知のゆがみを修正することで、あなたの人生がポジティブにかわります!
今回は「認知のゆがみ」に焦点をあて、その思考パターンの特徴や解決方法をお伝えしていきましょう。
自分の思考パターンに苦しむ「認知のゆがみ」
悪い方向に自然と考えてしまう「自動思考」から抜けられない要因が「認知のゆがみ」です。
認知のゆがみには10の思考パターンがあるといわれていますが、10のパターンをさらに3つの特性に分類してお伝えしていきましょう。
- 完全主義
- 思いこみがはげしい
- 自己肯定感が低い
1.完璧主義
認知のゆがみは「完璧主義」の偏った思考とむすびつきやすいです。
よくも悪くも妥協ができない完璧思考。
自分で自分をほめちぎったり、他人の評価を過剰に気にする意識そのものが「認知のゆがみ」といえます。
プロジェクトにとりくむ強い責任感。自己愛や過剰な自意識はやがて周囲とのズレを生みうまくいかなくなることも。
100%クリアした成功以外はすべて失敗ととらえ、自分の思考がすべての基準であるととらえてしまうのが「認知のゆがみ」です。
・全か無かの思考 all-or-nothing thinking
ものごとを0か100、黒か白かと考えてしまう極端な思考。
プレゼンテーションをうまくやっていて内容がいくら素晴らしくても、いちど読みちがえただけで「失敗」と考えてしまうなどです。
・すべき思考 should statements
どんな状況でも「しなければならない」と考える「すべき」思考のことです。固定観念にしばられた思考。
男性は○○であるべき、女性は○○でなければならないといったジェンダーの観念も「すべき思考」といえます。
2.思いこみがはげしい
かたくなな「思いこみ」の背景には、認知のゆがみが生じていることも。
「他人への攻撃」に理由や根拠が乏しい場合、解決がしにくいのはこのためです。
悪口をいわれたという一方的な思い。あるいは「自分はもうダメ」という主観がすべてを支配してしまう。
自分を客観的にみられない人は認知のゆがみをおこしやすいといえます。
・感情的決めつけ emotional reasoning
感情のおもむくままに他人の評価をきめてしまう思考。
「なんとなくムカつく」という自分の感情そのままに相手を一方的に嫌うなどです。
・結論への飛躍 jumping to conclusions
相手の表情や言動を、自分なりに解釈して結論づけてしまう思考。
LINEのトークにて相手の状況にかかわらず、いちどでも返事がかえってこないと「既読スルー」されたと思いこみ「嫌われた」と考えます。
・レッテル貼り labeling and mislabeling
自分や他人に対して固定化されたイメージをつけて可能性を減らしてしまう思考。
「あの人は金持ちだから不自由ない」「あの人は人前では話せない」など一面的にしかものごとをとらえられません。
・個人化 personalization
責任の所在を、すべて自分や他人などの個人に転換してしまう思考。
「あのプロジェクト、計画どおりいかなかったのはすべて自分のせい」あるいは「あいつのせい」などと責任転嫁するため、チームで仕事を進めることができなくなるのです。
3.自己肯定感が低い
自分の存在価値が感じられないネガティブな状況は、必要以上に自分で自分を「認知のゆがみ」におとしいれてしまいます。
自分を見失っているときは「自虐」でしか、自分の意識をみいだせないからです。
幼少から親に負担をかけまい、完璧でいなければ……など養育環境の影響もあるかもしれません。
自分のしていることが他人に受け入れられていないと感じる人ほど「認知のゆがみ」に悩まされるのです。
・一般化のしすぎ overgeneralization
いちどや二度の失敗で、今後は絶対に成功できないと思いこむ思考。
意中の人をデートへ誘う。あえなく断られたところ「今後は一生、自分が誘ってもだれもつきあってくれない」と決め込んでしまう心理です。
・心のフィルター mental flitar
自分にとってよかったこと、成功体験などすべて排除してしまう思考。
うつなどで精神的にふさいでしまうと、世の中にあるポジティブな内容すべてが目に映らなくなる状態のことです。悪いことだけに執着してしまいます。
・マイナス化思考 (プラスの否定) disqualifying the positive
よかったことすべてをマイナスに転換してしまう思考。
人にほめられても、素直に受け止められず「なにかたくらんでいるのでは」という逆の考えをもってしまうなどです。
・拡大解釈(破滅化)と過小評価 magnification and minimization
他人の能力を高く評価するわりに、人より秀でている自分の能力を否定し「とるにたらない」と考えてしまう思考。
自分にきびしい姿勢を美徳とするが、あまりにきびしすぎて自分を破滅においこんでしまう心理です。
認知のゆがみがおこる人の特徴
人間関係に悪影響があるのが認知のゆがみ。この思考パターンにおちいる人は、人間関係がうまくいかないばかりか、社会との接点をみずから絶ってしまうことも。
「認知のゆがみ」がおこる人の特徴3つをお伝えしていきます。
1.人間関係がうまくいっていない
認知のゆがみがあると、自分が他人を信頼できず、他人からの信頼もえられません。
自分の思考・認知がゆがんでいることに気がつかないため、良好な人間関係をきずくことができないのです。
贈りものをされても「好意」とはとらえられず「なにか裏があるのでは」という猜疑心にみちてしまう状態。問題のないことでも、みすみすチャンスやしあわせを逃してしまうことにもなるでしょう。
自分と相手とのあいだに、みずから「壁」をつくってしまうのが認知のゆがみのある人の特徴です。
2.社会とのつながりが意識できない
「ひきこもり」とは認知のゆがみがもたらすと考えてよいでしょう。
外の世界とのつながりが希薄である理由。自分の思考範囲がすべてと考えている以上、認識する世界はひろがることがありません。
ネット上の情報がすべて。偏見や批判、暴言を客観的にみることができないため、すべて「真実」だと受けとめてしまうことも。
自己の思考がもたらすバイアス(偏見)について、マインドコントロールの根幹が「認知のゆがみ」になるのです。
3.体調がよくない
体調がおもわしくないと認知が「ゆがむ」ことも。
健康管理がおもうようにいかないとき、人の精神活動は停滞します。睡眠不足がつづけば、どうしてもネガティブ思考になりますよね。
ちょっとした散歩や体操。ひとつでも自分を律して習慣にしていることがあれば、おさえることができるのが「認知のゆがみ」。
規則正しい生活ができていないときは、マイナス思考におちいりがちです。
認知のゆがみを修正する方法
ネガティブな思考に慣れてしまうと、なかなか修正できないのが認知のゆがみ。
ゆがんでしまった思考を少しでも戻して楽になりたいと思うもの。
これからお伝えする方法を実践してみると、あたらしい自分を発見できます。
1.認知のゆがみに焦点をあてる
なにより、認知がゆがんでいる本人の「自覚」が必要です。認知の歪みがある人の特徴をセルフチェックしてみる。
先にあげた「完璧主義」や「思いこみ」「自己肯定感の低さ」を今の自分にあててみるのです。
思考を柔軟にして、ゆがみを修正するには、まず自分の思考自体を客観的にみること。問題のある状況を「書きだす」のです。
これまであたりまえのように感じていネガティブな感情をまず洗い出してみる。
職場の上司から注意を受けたときの感情。「またミスをしてしまった。もうダメだ」「そもそも悪いのはアイツ」などのネガティブな感情に焦点をあてます。
「いつ・どこで・だれと・どのように」の時制にあわせて紙に書きだしてみましょう。
2.異なる解釈を加える
自分にある認知のゆがみが自覚できれば、そこに別の分析・解釈を加えていきましょう。
あたまにこびりついた思考をいちど引きはがしてみる作業。最終的に自分のパターン化された思考過程をつき崩せるのは自分でしかないのです。
上司に叱責された背景に、ちがう視点を加える。「ミスは認めるがすべてがダメなわけではない」「上司自身が追い込まれている。なにかしらの理由があるのかも」「ある人には感謝されている」など。自分の思考に注釈を加えていくイメージです。
あえてちがう可能性をみいだしてみる。自然にものごとを客観的にみられるようになります。
3.合理的思考への転換
自分の思考を客観的にみるチカラがつけば、認知のゆがみがもたらしているマイナス思考をうまくプラスに転換できます。
人を敵か味方か、黒か白かといった「二分思考」はかならず、つじつまが合わなくなるときがきます。
職場の人間関係を偏った視点でしかとらえられなかった自分こそ、人との「つながり」から切りはなされることに気づくはずです。
妥協点やどっちつかずともみえる柔軟な思考。合理的思考をもつことで、他人の「認知のゆがみ」に気づくようになります。
まとめ
「認知のゆがみ」について、苦しむ思考のパターンや認知がゆがむ人の特徴、ゆがみを修正する方法などお伝えしてきました。
完璧主義的で極端な思考。思い込みがはげしいかったり、自己肯定感が低かったりが、さまざまな「認知のゆがみ」をひきおこします。
社会とのつながりがもてず、体調を崩していると認知のゆがみがより強いものに。
まずは自分の思考パターンを自覚し、できるだけちがう視点を加えるクセをつけることで、合理的思考ができるようになります。
いまいちど、自分を思考をみつめることで、あらたな人生を切り開く「気づき」がえられるはずです!
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