うつ病は身近な病気【12の初期症状と原因】予防と治療3つのポイント

うつ病は身近な病気【12の初期症状と原因】予防と治療3つのポイント 心理

つ病は身近ですが自覚がむずかしい病気。初期症状を見逃すと休職や自殺のリスクさえあります。どのような初期症状があるのでしょうか。

発症の原因には、ストレスが強い状況での否定的な思考、脳内のストレスホルモンの過剰分泌があげられます。予防には家族のサポートも不可欠。予防・治療の取り組み3つのポイントをみていきましょう。

うつ病はとても身近な病気

うつ病はとても身近な病気

「うつ病」は自覚しにくく、進行すると休職や自殺のリスクが高まります。仕事や家庭のストレスが引き金になりやすいです。

治療が遅れると再発の可能性も高いため、周囲のサポートが大切。急激な行動の変化や無気力感などを見逃さず、早期に対策をとりましょう。

1.「うつ病」は自覚しにくい

「うつ病」は不思議な病気です。容易には回復できない障害が脳のなかに生じるため場合によっては自覚のないまま進行します。

仕事でのプレッシャーや家庭での問題が、心にストレスを溜め込み、結果うつ病にかかってしまうかもしれません。

しかし、自分自身や身近な人々には、はじめ病気の自覚が薄いのが、うつ病の特徴です。

 

2.治療が遅れると休職、自殺のリスクも

うつ病が進行すると、休職や退職をせざるをえなくなるケースも多いです。無視すれば自殺のリスクも高まります。

重度のうつ病は薬物療法だけではなかなか改善されず、再発の可能性も高いです。

うつ病の対策が遅れると、重要な役割をはたしている人材を失うリスクが増大します。

 

3.「うつ病」の兆候に気を配る

家族や上司がうつ病を理解し、相談しやすい雰囲気を整えることが重要です。周囲の人々が気付く兆候もあります。

急激な行動の変化や無気力感などが見られたら要注意。パニック障害の発症がみられる可能性もあります。まずは周囲の気配りがポイントとなるでしょう。

以下、周囲が気付きやすい、うつ病の初期症状を12あげてみました。参考にしてください。

  1. つらい出来事があった そのことで悩んでいる
  2. ためいきをつくことが多い
  3. 考え込むことが多い 口数が少なくなった
  4. イライラが多い 怒りっぽくなった
  5. 学校(仕事)に行きたくない(特に休日あけ) 遅刻、欠勤しがち
  6. 忘れることが多くなった。(忘れ物、約束を守らない、キャンセルする)
  7. 成績が下がってきた。仕事のミスが多くなった
  8. 仕事が遅くなった 期限遅れが多くなった
  9. 死んだら楽だと思う「死にたい」という
  10. 人にあうのがつらくなっている つきあいが悪くなった
  11. 以前と比べて、気が弱くなった 自信なげなことを言う
  12. 風呂にはいらなくなった 化粧しなくなった

 

うつ病の症状とは

うつ病の症状とは

うつ病には精神症状や身体症状が現れます。抑うつ気分や興味の喪失、集中力の低下があり、睡眠障害や食欲の変化も見られるでしょう。

態度や行動にも変化があり、社会的な孤立や自傷行為のリスクも高まります。

1.精神症状

うつ病の特徴的な症状は、精神的な側面に表れます。抑うつ気分や悲哀の感情が一般的です。日常生活での些細なことでも悲観的になり、喜びを感じることが難しくなるでしょう。

友人との楽しいイベントや興味深い活動に参加しても、以前ほどの喜びを感じません。無気力や意欲の低下とともに、以前は楽しんでいたことに対する興味が喪失し、日常的な活動に対する関心を失います。

集中力の低下もうつ病の一般的な症状です。仕事や学校での活動で問題を引き起こします。さらに、自殺念慮や希死念慮もうつ病の症状の一部であり、深刻なケースでは自殺の考えや行動をしめす場合もあるでしょう。

 

2.身体症状

うつ病は精神的な側面だけでなく、身体的な症状がある場合もあります。睡眠障害はその一例であり、寝つきが悪くなったり、中途覚醒がひんぱんに起こったりします。

夜中に何度も目が覚めたり、朝早く目が覚めてしまったり。また、食欲の変化も見られ、食欲の低下や増加は、うつ病の典型的な身体症状です。体重の増減や栄養不足が生じます。

さらに、身体的な不調として、頭痛や筋肉痛、関節痛、胃腸の不調などが報告されています。これらの症状は、うつ病の重要な要因であり、病状の悪化や回復の妨げとなるでしょう。

 

3.態度・行動の変化

うつ病により、患者の態度や行動にも変化が現れることがあります。社会的な活動や趣味に興味をしめさなくなるためです。

外出を嫌がる、人と会いたがらない、約束を守らないなどの行動の変化が見られます。友人や家族との交流が減少し、孤立感や孤独感を抱くことがあります。

さらに、うつ病の深刻なケースでは、自傷行為や自殺未遂の行動が見られます。患者や周囲の人々にとって深刻な問題となり、早期の介入や適切な治療が必要とされます。

うつ病は個々の症状が複合して現れることがあり、患者の状態によって症状の程度や重症度が異なります。患者の状態を適切に評価し、適切な治療計画を立てていきましょう。

患者と家族や友人のサポートも重要であり、共同で治療に取り組むことが効果的です。

 

うつ病発症の社会的・生理的な要因

うつ病発症の社会的・生理的な要因

ストレスが強い状況では否定的な思考が生じ、脳内の扁桃体からストレスホルモンが過剰に分泌され、うつ病を深刻化させます。

過剰なストレスホルモンは脳の神経細胞にも悪影響を及ぼすため、うつ病の症状を引き起こす可能性が大きくするでしょう。さまざまな心理的ストレスが否定的な思考を生み出し、うつ病のリスクを高めます。

1.否定的な思考の影響とストレスホルモンの分泌

社会の厳しい情勢が、働き盛りの人々や高齢者、子供たちにもうつ病の増加をもたらしています。うつ病により、仕事ができなくなり自殺するケースがたいへん多いです。

ストレスが強い場面では、ストレスの克服が難しく、否定的な思考が繰り返されることがあります。

この思考パターンにより、脳内の扁桃体が興奮し、副腎皮質からストレスホルモンが過剰に分泌。うつ病をより深刻にします。

  • 働き盛りの社会人が、厳しい労働環境によるストレスに晒される
  • 高齢者が孤独や健康問題により心身に負担を感じる
  • 子供が学業や社会的圧力に対処しようとするなかでストレスを抱える

 

2.脳の神経細胞の傷害と機能低下

過剰なストレスホルモンが脳へ伝わると、前頭前野や海馬、帯状回などの神経細胞が傷つく可能性があります。これらの部位の体積減少にともない、セロトニン神経の機能も低下するとの報告があります。

集中力や記憶力の低下、意欲や感情の制御の困難が生じ、うつ病の症状が現れるでしょう。

  • 前頭前野の損傷により、仕事や学業への集中力や判断能力が低下する
  • 海馬の損傷により、記憶や学習能力に影響を及ぼす
  • 帯状回の損傷により、感情の制御や意欲が低下し、日常生活に支障をきたす

 

3.心理的ストレスからの否定的な思考

否定的な思考パターンは、さまざまな心理的ストレスから生じます。労働環境の過酷さや睡眠不足などが、うつ病の発症につながる要因として考えられるでしょう。これらのストレス因子により、うつ病のリスクが高まります。

  • 仕事の過重な負担や長時間労働によるストレスが、うつ病の原因となる
  • 持続的な睡眠不足が、心身のバランスを崩し、うつ病の発症を促進する要因となる
  • 孤独や社会的圧力などの心理的ストレスが、否定的な思考パターンを引き起こし、うつ病のリスクを高める

 

非定型うつ病の特徴

最近、非定型うつ病が増加しています。このタイプのうつ病は、パニック障害との併存が多く、従来の典型的なうつ病(メランコリー型)とは異なる特徴があります。非定型うつ病の主な特徴は以下のとおりです。

1.気分反応性と逆自律神経症状

自分に都合のよい出来事に対して気分が良くなる気分反応性や、逆自律神経症状(過食や過眠)が見られます。ささいなことで気分が急変し、疲労感や鉛様麻痺感が強く現れるかもしれません。人間関係に対してひじょうに過敏であり、他人からの評価に極度に反応します。

 

2.非定型うつ病の神経生理学的基盤

非定型うつ病ではセロトニン神経や報酬系の機能は正常ですが、扁桃体の亢進や前頭前野の機能低下が見られます。これが気分反応性や対人関係に対する拒絶過敏を引き起こします。

 

3.非定型うつ病の改善

非定型うつ病の改善にはマインドフルネス心理療法が効果的です。鉛様麻痺感を引き起こすような思考や反応に注意し、自己評価の向上や自己の価値に集中する訓練を繰り返します。

不快な事象に対して非機能的な反応を抑制し、受容する心が養われるでしょう。

非定型うつ病は症状が多様であり、治療には個々の症状に合わせたアプローチが必要です。マインドフルネス心理療法を中心とした総合的なアプローチが、症状改善と社会生活への復帰を支援します。

 

うつ病の予防と治療3つのポイント

うつ病の予防と治療3つのポイント

まず、予防が大切であり、定期的な講習やカウンセリングに参加し、日常生活に予防法を取り入れましょう。うつ病の治療法は確立しつつあるため、早期に取り組むほど、治療がすすみます。

家族の支援も不可欠であり、ともに治療に参加することで患者の治療への積極性が高まるでしょう。

1. 予防的な心得を学ぶ

うつ病は社会生活に大きな影響を与える厄介な病気です。しかし、予防のための取り組みがあれば、そのリスクを軽減できる可能性があります。
定期的に予防のための講習やカウンセリングに参加し、予防的な心得を学ぶのが第一のステップです。日々の生活のなかでたとえ10分でも、予防法を実践すると、うつ病の発症リスクを軽減できるかもしれません。

 

2. うつ病になっても大丈夫・治せばいい

うつ病の自覚がないまま医療機関を訪れる場合もありますが、うつ病に気付いてもあわてる必要はありません。適切な治療法があります。
薬物療法だけでなく、認知療法やマインドフルネス心理療法などさまざまなアプローチがあるためです。うつ病を治すには時間がかかるかもしれませんが、早期の取り組みが苦しみを軽くします。絶望せずに治療の道を歩んでいきましょう。

 

3. 家族の支援とともに相談・治療を

うつ病になった場合、家族のサポートはひじょうに重要です。患者本人だけで適切な治療機関やカウンセリングを見つけることがむずかしい場合もあります。

マインドフルネス心理療法の場合、家族が一緒に参加するメリットが多くあります。家族が同行すると、患者が治療に参加しやすくなり、治療の途中での脱落を防げます。

また、家族が治療法や治療の目的を理解し、患者への「かならず治る」信頼が重要です。さらに、家族が患者の治療に参加すると、自身の精神的健康にもプラスの影響を与えることができます。

うつ病は家族全体に影響を与える可能性があります。したがって、家族のサポートとともに、適切な治療法を見つけることが大切です。家族の支えがあれば、うつ病と向き合い、克服するための道のりが少しでも楽になるでしょう。

 

うつ病の初期症状 まとめ

筆者も以前、うつ病の自覚なく経過した時期があり、つらさの原因がわからず自分自身を受け入れられませんでした。本当にうつ病はとらえどころがない病気ですよね。

【おもなうつ病の初期症状】

  1. つらい出来事があった そのことで悩んでいる
  2. ためいきをつくことが多い
  3. 考え込むことが多い 口数が少なくなった
  4. イライラが多い 怒りっぽくなった
  5. 学校(仕事)に行きたくない(特に休日あけ) 遅刻、欠勤しがち
  6. 忘れることが多くなった。(忘れ物、約束を守らない、キャンセルする)
  7. 成績が下がってきた。仕事のミスが多くなった
  8. 仕事が遅くなった 期限遅れが多くなった
  9. 死んだら楽だと思う「死にたい」という
  10. 人にあうのがつらくなっている つきあいが悪くなった
  11. 以前と比べて、気が弱くなった 自信なげなことを言う
  12. 風呂にはいらなくなった 化粧しなくなった

現在は、マインドフルネス心理療法のセラピストとして活動するなかで、うつ病の苦しみを軽減するお手伝いをしています。

本記事が少しでもみなさまの「気づき」につながればうれしいです!

 

【お問い合わせ】

自己洞察瞑想療法(SIMT: Self Insight Meditation Therapy)

 

Post by @moto.mako
View on Threads

 

コメント