人間は無意識のうちに、さまざまなバイアス(偏見)を持っています。バイアスは、私たちの意識には届かないレベルにあり、その存在に気付きにくいです。このようなバイアスを「アンコンシャス・バイアス」とよびます。
アンコンシャス・バイアスは、人間が生きていくうえで避けられません。しかし、その影響を把握し、アンコンシャス・バイアスに気付く必要があります。特に、ビジネスや社会において、アンコンシャス・バイアスがどのような影響を与えるか知っておくと、よりよい結果が得られやすいです。
本記事では、アンコンシャス・バイアスについて詳しく解説し、アンコンシャス・バイアスの影響を減らすための方法を紹介します。
アンコンシャス・バイアスの種類
人間のアンコンシャス・バイアスは多岐にわたります。ここでは、代表的な種類をいくつか挙げます。
1.アファメーション・バイアス
自分が持っている信念や価値観を、自分自身の行動や選択肢が正しいものであるかのようにとらえてしまう傾向。つまり、自分が正しいと思っている信念をサポートする情報に対しては肯定的に反応し、反対する情報には否定的に反応するのをアファメーション・バイアスとよびます。
2.ステレオタイプ・バイアス
人々が持つ先入観に基づいて、他者を判断する傾向がステレオタイプ・バイアス。ある人が特定の国や地域の出身であることを理由に、その人が特定の性格や能力を持っていると決め付けるバイアスです。
3.ハロー・エフェクト
ある種の能力や魅力を持っている人。周囲はその人の全体像を好意的にとらえる傾向があります。つまり、一つの魅力的な特徴があれば、それ以外の部分も魅力的であると判断してしまうのです。
4.ハンドプレイ・バイアス
自分自身の行動には、より多くの価値を見出し、おなじ行動を他者がしているよりも優れていると考える傾向。自分が持っているアイデアや提案には、過度に価値を見出し、それ以外のものは批判的になるケースがあります。
これらのアンコンシャス・バイアスは、人間が自然に持っているものであるため、だれにでも起こり得ます。しかし、自分自身が持っているバイアスを認識し、それを適切に扱うが姿勢が重要です。
アンコンシャス・バイアスの影響
アンコンシャス・バイアスがもたらす影響をいくつか挙げます。
1.偏った判断
アンコンシャス・バイアスによって、人々は自分自身の意識には届かないレベルで、偏った判断をしてしまう場合があります。たとえば、特定の人種や性別に対して偏見を持っている場合、その人たちに対して公平な判断を下すことが難しくなってしまいます。
2.多様性の不足
アンコンシャス・バイアスによって、人々は自分自身に似たような人や考え方に偏ってしまい、多様性を尊重することができなくなってしまいます。これによって、ビジネスや社会において、多様なアイデアが失われてしまうケースがあります。
3.決定の欠陥
アンコンシャス・バイアスによって、人々は決定を下す際に、偏った情報を基にあやまった判断をしてしまうケースがあります。たとえば、過去の成功体験に固執して、新しいアイデアや手法を受け入れられなくなってしまうなどです。
アンコンシャス・バイアスの克服方法
アンコンシャス・バイアスを克服するためには、以下のような方法が有効です。
1.自己認識
アンコンシャス・バイアスを克服するには、まず自分自身がどのようなバイアスを持っているのかを自己認識します。自分自身が持っているバイアスを知り、それに対してどのように対処すればよいのかを考える必要があるでしょう。
2.多様性の尊重
多様性の尊重は、アンコンシャス・バイアスを克服するためにたいへん重要です。自分自身に似たような人ばかりと接していると、自分自身が持っているバイアスに気付きにくくなってしまいます。多様な人々と接すると、自分自身のバイアスに気付き、バイアスへの対処ができるようになるでしょう。
3.情報の検証
アンコンシャス・バイアスによって、誤った情報を信じ込んでしまう場合があります。知りえた情報を検証する意識が重要です。自分が信じている情報が本当に正しいのか、別の視点から見た場合にも正しいのかを慎重に検証してみましょう。
4.トレーニング
アンコンシャス・バイアスを克服するためのトレーニングをしてみましょう。たとえば、人種や性別などの違いを学ぶ、偏見を排除する行動・実践をするなど。これらのトレーニングを繰り返すとアンコンシャス・バイアスを減らすことができます。
アンコンシャス・バイアスを排除するメリット
アンコンシャス・バイアスは個人的なレベルだけでなく、組織や社会全体にも影響を与えます。アンコンシャス・バイアスの排除が、企業や組織の活性化をもたらします。
採用や昇進の判断にアンコンシャス・バイアスの影響を排除できれば、より多様な人材の採用面接や人事評価が活性化するでしょう。
さらに、社会全体においても、アンコンシャス・バイアスの気付きが、社会的不平等や偏見を解消するきっかけになります。人種や性別、障がいの有無などによる機会や待遇に差異が生まれる社会的な意識改革や教育の促進、法制化が進むでしょう。
アンコンシャス・バイアスまとめ
アンコンシャス・バイアスは、意識に届かないレベルで人々の判断や行動に影響を与えます。そのため、アンコンシャス・バイアスに気づき、克服するためには、自己認識や多様性の尊重、情報の検証、トレーニングなどを通じて、アンコンシャス・バイアスを克服し、より公正で多様な社会の実現が求められています。
アンコンシャス・バイアスは、だれにでも潜在的に存在するものです。しかし、それを認識し、克服することで、より公正で多様な社会を実現できます。自己啓発やトレーニングなどの方法を活用し、アンコンシャス・バイアスに対する取り組みを進めていきましょう。
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